小児科
診療科の特徴
診療科の特徴
丁寧な説明と適切な治療を心がけ、日々の診療にあたっています。
外来診療
小児科の一般診療(かぜ、乳児検診・予防接種など)に加えて、循環器外来(先天性心疾患・不整脈・川崎病など)、アレルギー外来(食物アレルギー・アトピー性皮膚炎・気管支ぜんそくなど)、神経外来(てんかんなど)、心身症外来(神経性食思不振症・不登校など)、消化器肝臓外来(炎症性腸疾患など)、摂食嚥下外来など様々な専門外来を開設しております。医療的ケア児は、小児外科や耳鼻咽喉科とも連携して診療にあたっています。専門分野の診療だけでなく、小児医療センターの特性を生かして相互に密接に連携をとりながら総合的な小児医療を提供しています。
入院診療
小児病棟では、年間約1,000人のこどもたちが入院しています。感染症(肺炎・気管支炎・咽頭炎、急性胃腸炎、尿路感染)をはじめとした急性疾患に加えて、川崎病・ぜんそく発作・てんかんや熱性けいれんなどさまざまな病気に対応しています。最近ではCT・MRIなどの画像検査や、食物アレルギーの経口負荷試験・アトピー性皮膚炎の教育入院、低身長のホルモン分泌刺激試験、炎症性腸疾患の内視鏡検査など検査目的の入院も増加傾向にあります。胃ろうによる経腸栄養や気管切開・人工呼吸管理中の患者様など医療的ケア児の入院も多くあります。またプレイルームがあり小児病棟専属の保育士が常駐していることも特徴です。
*外来・入院を問わず、当科では痛み止めのシールや塗り薬を積極的に使用して注射や採血時の痛みの軽減につとめています。痛み止めを希望される場合は担当医または看護師にご相談ください。
こども出前講座
2022年4月より地域貢献活動として、さまざまなこどもの病気に関する最新の知識や技術を提供するべく、「こども出前講座」を開設しました。現在主に福山市内のこども園・幼稚園・保育園・小中学校向けに医師・看護師・薬剤師が講演を行っており、おかげ様でご好評をいただいております。遠方の場合はWEB対応もしております。ご希望される保育施設や学校関係者の方はぜひこちらからお申込みください。
専門外来
循環器
当院における小児循環器診療は2001年が始まりです。循環器診療の中心はエコーによる診断ですが、2000年以前は外来、入院を合わせて年間100件程度と非常に少ない件数でしたが、その後、年々検査数は増加し2006年には1000件を突破しました。以後、その件数をほぼ維持しています。
対象の中心となる分野は先天性心疾患であり、出生直後の新生児から20代の成人まで、フォローしています。出生直後から集中的な治療が必要となる新生児循環器疾患の子供どもは、NICUでの管理が中心となります。新生児専門医と協力し人工呼吸管理、プロスタグランジン投与などの治療により全身状態を整え、手術が必要なケースではスムーズに手術を受けられることを目標にしています。
手術やカテーテル治療が必要となる例では、広島県東部には小児の心臓手術が出来る施設がないため、主に岡山大学、広島市民病院などと協力し合い、総括的に管理しています。遠方での受診・治療となりますが、当院でのフォローを綿密にして紹介先の受診回数を減らしたり、術前術後管理を当院で行ったりして、子どもとその家族の負担を軽減することが可能となっています。
不整脈では、期外収縮をはじめとして上室性頻拍症、心房粗動、心室性頻拍症、房室ブロック、QT延長症候群などを診療しています。循環動態に問題が出てくるようであれば抗不整脈薬による治療や、電気ショック治療を行うこともあります。また、電気生理学的検査、カテーテルアブレーションが必要な症例では、岡山大学や大阪市立総合医療センターなどと共同で治療をすすめています。
川崎病は小児に多くみられる原因不明の中型血管炎です。中心となる治療はガンマグロブリン投与で、当院では2g/kgを24時間で投与を行います。解熱しなければ再投与を行いますが、ガンマグロブリンが無効または効果が乏しいと判断したときは、ステロイドパルス療法やインフリキシマブ、シクロスポリンなどの免疫抑制剤を使って治療を行っています。現在は、冠動脈瘤をはじめとした心臓後遺症を残す例は少なくなりましたが、合併症を残した例では、抗血小板、抗凝固療法を行い、心筋梗塞発症の予防に努めています。
アレルギー
アレルギー患者さんは、アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・気管支ぜんそく・アレルギー性鼻結膜炎・花粉症など様々なアレルギー疾患をしばしば合併しています。診断は血液検査だけでなく、詳細な身体診察・経口負荷試験・呼吸機能検査などで行い、総合的に診療を行います。また、それぞれのアレルギー疾患に対して診療ガイドラインが作成され標準的な治療が示されております。当科ではこのガイドラインに沿った標準的な治療を心がけており、アトピーや食物アレルギーが治りにくい患者さん、ぜんそくや鼻炎の治療を受けていても症状が良くならない患者さん、重症の患者さんに対しても適切な治療法を一緒に考えていきます。小児アレルギーエデュケーターという専門資格を持った看護師の指導を受けることもできます。
注)初診の患者さんには、30分から1時間かけてこれまでの症状や治療経過などについてしっかりとお話を伺いながら診察を行います。受診に際しては、必ず紹介状をお持ちください。
アトピー性皮膚炎
保湿・スキンケアに加えて、ステロイド外用薬や免疫調整薬を用いた標準的な治療を行っております。スキンケアや外用指導、ステロイド外用薬の適切な使用方法・副作用について丁寧な説明を心がけています。コントロールが難しい患者さんには、1週間程度の教育入院をしていただくこともあります。
食物アレルギー
現在食物アレルギーをもつ患者さんは年々増加傾向にありますが、その一方で食物アレルギー発症のメカニズムや予防方法についての知見が蓄積されつつあります。赤ちゃんの湿疹に対して適切な外用を行わないと、食物など様々なアレルギーを皮膚から獲得することがあり、湿疹のないすべすべの肌にしておくことが食物アレルギーの予防に重要な役割を果たすことが分かっています。また様々な食物を必要以上に制限せず食べつづけることで食物へのアレルギー反応を抑えることも分かっています。
ガイドラインでは食物アレルギー診療の基本に「必要最低限の食物除去」と「症状誘発時の適切な対応」が挙げられています。「必要最低限の除去」とは、アレルギーが心配だから念のため食べさせないようにすることや、一度診断されたあとに漫然と制限し続けることを避け、食物アレルギーがあっても安全に摂取できる範囲内で食べることを意味しています。
その範囲(安全に摂取できる量)を調べる目的や、診断する目的、治ったかどうかを調べる目的で食物経口負荷試験を行っています。2022年度は外来で約250件、入院で約100件の負荷試験を行っており、アレルギー専門医や看護師立ち合いのもと慎重に症状を観察しています。「症状誘発時の適切な対応」については、自宅や学校等で症状が誘発される危険性がある患者さんに対して、アドレナリン自己注射器(エピペン®)の処方を行い、適切な注射方法について具体的に指導を行っています。
気管支ぜんそく
ぜんそく日誌やぜんそくコントロールテスト、ピークフローメーターなどで普段のぜんそくの状態を把握し、呼吸機能検査を行いながら患者さんに最適な治療を行います。
アレルギー性鼻結膜炎・花粉症
標準的な薬物療法に加えて、ダニとスギ花粉の舌下免疫療法により鼻炎症状の根治を目指しています。
小児四肢疼痛発作症
当科では小児四肢疼痛発作症の診断(遺伝子検査)・治療を行っております。
詳細はこちらの「小児四肢疼痛発作症」のウェブサイトをご参照ください。
消化器・肝臓
国内、とくに中国地方では数少ない小児の消化器病・肝臓病を専門的に診療する診療科です。難治性消化管疾患であるクローン病や潰瘍性大腸炎は、発症の低年齢化も加わり増加の一途をたどっています。その他、好酸球性消化管疾患、ピロリ菌感染の他、胆道閉鎖症、アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)、自己免疫性肝炎など黄疸を伴うような慢性肝疾患、またウィルソン病やシトリン欠損症などの代謝性疾患の診療も行っております。現段階では月1回の外来ですが、小児消化器肝臓病を専門に診療を行っています。
担当医:近藤宏樹 日本小児科学会専門医・指導医
日本肝臓学会肝臓専門医
日本小児栄養消化器肝臓学会認定医
摂食・嚥下
食べることは本能ではなく、口を閉じて飲み込む、舌と上あごで押しつぶす、歯ぐきや奥歯で嚙みつぶす、と順を追って獲得していくものです。先天性の疾患などで食べることを獲得していくことが難しい、食べることが苦手なお子さんもいらっしゃいます。
この外来では、離乳食の進め方や食事の食べ方、食事形態、食べるとむせるなど、お子さんの食べること飲み込むことに関する診察をいたします。
お食事を食べる様子を拝見し、お子さんの食べる機能の発達の現状を評価して、食べる姿勢、食事の形態、食べるためのお口のトレーニング法などお子さんの食べる様子に合った方法をお伝えしています。
むせる、飲み込めないなど嚥下(えんげ:飲み込み)のレントゲンでの検査(嚥下造影検査)もいたします。
ご予約をお取りいただき、当日は普段食べているものやスプーンなどお持ちください。
また、診察室で食べることが難しい場合もございますので普段の食事の様子の動画などお持ちいただくと助かります。
通われている保育園や療育施設、学校などとお子さんの食べることに関する情報のやり取りや食べる状況の説明もいたします。
午前は言語聴覚士さんと、午後は歯科衛生士さんと拝見しています。
お子さんの食べることでの心配事がございましたら、どうぞいらしてください。
担当医:綾野理加(歯科)
治験受け入れ可能な疾患
スタッフ
役 職 診療部長(小児科系)
専門分野 循環器(先天性心疾患、不整脈、川崎病、胎児心臓病)
卒業年度 平成4年
資 格
◆ 小児科専門医 ・指導医
◆ 小児循環器専門医
◆ 日本小児循環器学会評議員
◆ 身体障害者指定医師(心臓機能障害)
◆ 日本小児科学会代議員
◆ 臨床研修指導医
◆ 岡山大学医学部臨床教授
山下 定儀(やました さだのり)
役 職 小児科医長
卒業年度 平成12年度
資 格
◆ 小児科専門医・指導医
◆ 臨床研修指導医
◆ 岡山大学医学部臨床講師
藤原 倫昌(ふじわら みちまさ)
役 職 小児科医長
専門分野 小児科一般
卒業年度 平成16年
資 格
◆ 日本小児科学会専門医・指導医
◆ 日本アレルギー学会専門医・指導医
◆ 臨床研修指導医
◆ 日本小児科医会「子どもの心」相談医
◆ インフェクションコントロールドクター(ICD)
◆ 岡山大学医学部臨床講師
北田 邦美(きただ くにみ)
役 職 小児科医師
卒業年度 平成13年度
細木 瑞穂(ほそぎ みずほ)
役 職 小児科心療内科医師
卒業年度 平成12年度
中村 祐太(なかむら ゆうた)
役 職 小児科医師