肝胆膵外科このページを印刷する - 肝胆膵外科

診療科の特徴

肝胆膵外科
 当院は日本肝胆膵外科学会の高度技能医修練施設【A】に認定され、
また、当学会認定の高度技能指導医のもと、高度技能医の育成にあたっています。
 
 肝臓・胆道・膵臓それぞれの分野での診療内容を以下に簡潔にお示しします。
 肝臓の手術は、基本的な系統的肝切除術(葉切除・区域切除・亜区域切除など)・非系統的肝切除術(部分切除など)の他に、進行した肝細胞癌に対しても積極的に拡大肝切除を行っています。また、大腸癌を始めとする肝転移に対しては手術前後に補助化学療法を追加することにより、再発の予防による予後の改善に努めております。腹腔鏡下肝切除も適応を拡大し亜区域切除や葉切除といった系統的肝切除にも積極的に導入することで、患者様への侵襲を最小限にすることに日々努力しています。
 胆道の手術は、胆嚢癌や肝門部胆管癌といった肝臓に近い部分の悪性腫瘍に対しては拡大肝切除を含めた根治手術を施行しています。遠位胆管に発生した悪性腫瘍に対しては亜全胃温存膵頭十二指腸切除が中心となっています。近年発展の目覚ましい当分野の化学療法も積極的に導入し、術後の予後改善に努めています。胆道の良性疾患としては胆嚢結石症や胆嚢腺筋腫症が有名ですが、可能な限り腹腔鏡下に胆嚢摘出術を行っており通常手術後3~5日で退院可能となっています。
 膵臓の手術は、浸潤性膵管癌(いわゆる膵臓癌)に対しては根治手術を行うとともに術前後の抗癌剤療法を行い、予後の改善を図っております。また、手術できない症例に対しても化学療法・化学放射線療法等を行い、腫瘍を縮小させて手術適応の拡大を図っております。膵臓の悪性度の低い膵腫瘍に対しては、低侵襲な腹腔鏡下手術を積極的に導入しています。
 令和5年12月から当院にも導入された手術支援ロボット(daVinci Xi)を用いた肝切除・膵切除手術にも現在積極的に取り組んでおり、今後はその適応拡大を目指します。外来は水曜日午前が稲垣、北田、木曜日午前は稲垣、德永が、木曜日午後は内海がそれぞれ担当し、専門外来を行っています。
 

医療関係者向け専門情報

 肝切除術は系統的肝切除術を基本として施行しており、門脈腫瘍栓合併例に対する門脈合併切除、下大静脈浸潤例には下大静脈合併切除等、進行肝細胞癌に対しても積極的に拡大肝切除を行っています。また、大腸癌を始めとする肝転移に対しても積極的に肝切除を施行しており、術前後に補助化学療法を追加することにより肝内、肝外再発の予防による予後の改善に努めております。切除不能の肝転移症例に対しては化学療法にて腫瘍を縮小させ、切除可能になった時点でコンバージョン肝切除を行っております。また、腹腔鏡下肝切除も適応を拡大し、亜区域切除や葉切除といった系統的肝切除にも積極的に導入しております。同時性の大腸癌肝転移に対しては原発巣と同時に転移巣の切除も腹腔鏡下に行っており、患者様への侵襲を最小限にすることに日々努力しています。
 胆道では胆嚢癌、肝門部胆管癌に対する拡大肝切除を含めた根治手術を施行しております。肝門部胆管癌では胆管に広範囲に進展している場合も多く、切除する肝容量が多くなり過ぎ術後肝不全を発症する頻度が高くなるため、その対策として術前に門脈塞栓術を行うことで安全に大量肝切除を行っています。遠位胆管に発生した悪性腫瘍に対しては亜全胃温存膵頭十二指腸切除を中心に施行しています。早期の胆嚢癌、胆嚢結石・胆嚢腺筋腫症・胆嚢ポリープなどの良性疾患に対しては可能な限り腹腔鏡下に胆嚢摘出術を行っており、症例により適応を決定し通常手術後3~5日で退院可能となっています。また、総胆管結石症で内視鏡的治療が困難な症例に対し腹腔鏡下総胆管切石術も導入しています。胆嚢隆起性病変に対しては超音波検査(EUSなど)やCT・MRI検査を行うことにより悪性疾患との鑑別を図り、鑑別困難な場合には術中迅速病理検査を追加することでより精度の高い診断・治療方針の決定に努めています。近年発展の目覚ましい当分野の化学療法も積極的に導入し、術後の予後改善に努めています。
 膵臓癌では現在、切除可能膵癌に対しても術前化学療法を施行した後に根治手術を行っています。術後は主にティーエスワンを用いた術後補助化学療法を施行することで予後を向上しています。また切除可能境界膵癌に対し、従来よりのレジメンに加え新規抗癌剤も含めた術前化学療法を導入することにより予後の改善を図っております。手術不能膵癌に対しても化学療法・化学放射線療法によりダウンステージを行うことで、コンバージョン手術の適応の拡大を図っております。
 肝胆膵領域での内視鏡外科は、膵臓の体尾部に発生した良性・悪性膵腫瘍や非進行膵癌に対してこれまでも積極的に腹腔鏡下手術を行ってまいりましたが、近年ではリンパ節郭清を伴う膵癌手術にも適応を拡大してきております。また、肝臓癌に対しても内科的に腫瘍焼灼療法(ラジオ波、マイクロ波等)が困難な部位にある症例に対して腹腔鏡下に焼灼することにより、安全にまた患者様の手術ストレスを軽減することが可能となっています。さらに肝切除に関しても腹腔鏡用の超音波外科吸引装置(CUSA®)と最新の凝固切開装置を用い、前述したような高難度手術に対しても出血量も少なく安全に手術を行い、手術侵襲の軽減に取り組んでいます。令和5年12月から当院にも導入された手術支援ロボット(daVinci Xi)を用いた肝切除・膵切除手術にも現在積極的に取り組んでおり、今後はその適応拡大を目指します。
 

肝胆膵外科臨床業績(2022-2024)

肝胆膵外科研究業績(2024)

治験受け入れ可能な疾患

スタッフ

稲垣 優(いながき まさる)

役  職 院長
専門分野 肝・胆・膵外科、移植外科(肝・腎)
卒業年度 昭和60年
資  格
◆ 外科学会専門医・認定医・指導医
◆ 消化器外科専門医・認定医・指導医
◆ 消化器がん外科治療認定医
◆ 中国四国外科学会評議員
◆ 日本臨床外科学会評議員
◆ 日本肝胆膵外科学会評議員
◆ 肝胆膵外科高度技能指導医
◆ 日本移植学会移植認定医
◆ Membership of The Transplantation Society
◆ 岡山大学医学部医学科 臨床教授
◆ 臨床研修指導医
◆ 身体障害者指定医師(肝臓機能障害)
◆ 緩和ケア研修修了医
 

德永 尚之(とくなが なおゆき)

役  職 診療部長(肝臓・胆のう・膵臓外科)
専門分野 消化器外科一般(肝・胆・膵外科)
卒業年度 平成10年
資  格
◆ 日本外科学会 専門医・指導医
◆ 消化器外科学会 専門医・指導医
◆ 消化器がん外科治療認定医
◆ 日本肝胆膵外科学会評議員
◆ 肝胆膵外科学会 高度技能専門医
◆ 岡山大学医学部医学科 臨床教授
◆ 臨床研修指導医
◆ 緩和ケア研修修了医
 

北田 浩二(きただ こうじ)

役  職 肝臓・胆のう・膵臓外科医長
専門分野 消化器外科一般(肝・胆・膵外科)
卒業年度 平成13年
資  格
◆ 日本外科学会 外科専門医・指導医
◆ 日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医
◆ 消化器がん外科治療認定医
◆ ICD制度協議会 インフェクション・コントロールドクター
◆ 日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医
 

内海 方嗣(うつみ まさし)

役  職 肝臓・胆のう・膵臓外科医長
卒業年度 平成15年
資  格
◆医学博士
◆日本外科学会 専門医・指導医
◆日本消化器外科学会 専門医・指導医
◆消化器がん外科治療認定医
◆日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
◆日本肝胆膵外科学会 評議員・高度技術専門医
◆日本内視鏡外科学会 評議員・技術認定医(肝臓)
◆日本臨床外科学会 評議員
◆緩和ケア研修修了医
◆岡山大学医学部医学科 臨床准教授