ヘルニア外科
診療科の特徴
ヘルニアとは本来あるべき部位から脱出した状態を言います。腰のヘルニアは椎間板が脱出する整形外科疾患ですが、我々の扱うヘルニアはいわゆる脱腸(※腸以外の内蔵であることもあります)のことです。代表的なものとして鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、白線ヘルニア、食道裂孔ヘルニアなどがあります。この中でも診る機会の多い鼠径ヘルニアについてですが、当科では成人の鼠径ヘルニアを主に取り扱っています。加齢とともに下腹部から足の付け根(鼠径部)の組織が弱くなり、その部分からお腹の中にある腹膜が袋状に飛び出し、その袋の中を通って腸管などが皮下に飛び出してくることによっておこります。稀に飛び出したものが戻らなくなり、緊急手術をしなければ命に関わることもある病気です。多くの場合は緊急性は低いですが、自然に治ることはなく、年月ともに症状の増悪を認めることから、積極的に手術を御勧めしています。手術を行った場合は4日程度の入院です。当院では年間約100例の手術を行っており、近年ではより低侵襲なTAPPという腹腔鏡手術(2019年は35%の症例)も取り入れ、早期退院をめざしています。
医療関係者向け専門情報
具体的な診療内容
当科で扱うヘルニア疾患としては鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア、内ヘルニア、臍ヘルニア、白線ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、傍ストーマヘルニア、横隔膜へルニア、食道裂孔ヘルニアなどがあります。特に鼠径ヘルニアについては年間約100例に対して手術を行っています。両側の確認ができることなどのメリットもあり、鏡視下での手術も積極的に取り入れています。2019年は28例に行っており、良好な成績を修めています。疼痛も少なく術後在院日数は短縮できています。また多くの合併症があり全身麻酔や腰椎麻酔が難しい症例でも膨潤麻酔(局所麻酔の一種)を用いて良好な除痛を図った上での安全な手術にも力を入れております。ヘルニア疾患の内嵌頓症例は2019年は5例で緊急疾患にも幅広く対応しています。その他のヘルニアや稀なヘルニアついても御相談いただければ幸いです。