臨床検査科
部門の特徴
臨床検査科は検体検査室、細菌検査室、病理検査室、生理検査室、輸血管理室より構成されており、患者様より採取された血液や尿、便、喀痰、組織などの検体中の成分を測定したり、心電図や超音波検査など患者様の生体情報を計測したりしています。
治験や感染対策チーム、栄養サポートチーム、糖尿病チーム等にも積極的に係わり他職種の人たちとも連携をとりながらチーム医療の一旦も担っています。
また、日々進歩する医療や医学にも対応すべく学会や研修会にも積極的に参加しており、常に最新の情報を得て日常の業務に反映し技術の向上にも努めています。
質の高い検査結果を迅速・正確に報告することを方針として365日24時間体制で運営しています。
当院では臨床検査の国際規格である「ISO15189(臨床検査室ー品質と能力に関する要求事項)」の認定を令和2(2020)年1月24日に取得いたしました。これにより当院で測定される検査結果は国際規格に合致していることが認められることとなりました。今後は認定を維持しつつ、さらなるQMS(Quality Management System)の向上を目指しています。
ISO15189認定証
医療関係者向け専門情報
部門の具体的な業務内容
検体検査
・血液検査
血液検査室では、患者様より採血された血液の赤血球数や白血球数、血小板数、ヘモグロビン値などを測定したり、血液中の細胞を顕微鏡で観察したりしています。また、白血病などの血液疾患を疑う場合には骨髄検査も実施しています。他にも、血液の固まり易さや血栓の有無などをみる凝固検査も行っています。
・一般検査
一般検査室では、尿中の蛋白、糖、潜血の有無や細胞を調べます。これらは腎臓や尿路系の病気の診断に役立ちます。また、消化管出血を調べる便潜血や関節液、髄液、精液、腹水、胸水などの検査も行っています。
・生化学・免疫検査
生化学・免疫検査室では生化学・免疫自動分析装置を用いて肝機能検査や腎機能検査、感染症検査、薬物血中濃度、腫瘍マーカー、ホルモンなどの検査を行っています。また、用手法にてアンモニア、HTLV-1やマイコプラズマ抗体価なども測定しています。
・輸血検査
輸血管理室ページ
細菌検査室
・顕微鏡検査
スライドグラスに検査材料を塗布し、染色を行い細菌の色、形態、生体の細胞などを観察します。
・培養検査
目的とする菌に合わせて組み合わせた数種類の培地に検査材料を塗って培養を行います。使用する培地には菌の発育に必要な栄養と目的菌以外は抑制する成分を含んだものがあります。培養すると集落と呼ばれる菌の塊を作り、肉眼で観察ができる大きさになります。
・同定検査
発育してきた集落の色、形態、発育した培地や生化学的性状などから菌の名前を決めます。
・薬剤感受性検査
検出された菌に対して何種類かの薬剤とともに培養し、菌の発育が抑えられているかを検査して有効な薬剤を調べます。
・結核菌などが含まれる抗酸菌が顕微鏡で見つかった場合
当院では、LAMP法という遺伝子増幅技術を用いて2時間以内に結核菌か否かを決めて、接触者感染リスクを極力低減し感染の拡大を抑制することに努めています。
・チーム医療
感染制御チーム(ICT)の一員として注目すべき微生物を迅速に報告することで院内感染の防止に努め、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の一員として血液培養陽性例、耐性菌検出例等に対して抗生剤の選択が正しいか、変更・中止が必要ないかなどを判断するための支援を継続的に行っています。その判断材料の一つとなるのが臨床検査であり、治療に介入するためのデータを作成しています。
・HIVチーム
HIVチームでは医師、看護師、薬剤師、社会福祉士、臨床心理士、臨床検査技師などの各スタッフが専門に応じて役割を分担し、連携を取りながらケアを提供しています。
生理検査
生理検査室では、心電図・各種負荷心電図、肺機能、超音波(主に心臓・腹部)、脳波、血圧脈波検査などを中心に検査を行っています。当院では産婦人科や小児科もあるため、生後間もないお子様から検査を行っています。超音波検査や脳波検査などは基本的には予約制であるため、予約されている方が優先になります。担当医が当日必要と判断された場合は、当日検査となることもありますが、待ち時間が長くなってしまうことがありますので、ご了承ください。
病理検査
病理検査とは、人体から採取した組織、細胞を顕微鏡を用いて観察することで病気の確定診断や病期の予後の推定、治療効果の判定を行う検査です。大きく分けて「組織診断検査」、「術中迅速検査」、「細胞診断検査」また「病理解剖」に分けられます。
・組織診断検査
内視鏡や手術により、採取された組織材料の良性・悪性の判断や病変の種類等の診断を行う検査です。診断困難症例には免疫組織化学染色、遺伝子検査、電子顕微鏡検査の特殊検査を行い詳細に検討し、報告しています。
・術中迅速検査
手術中に臓器の一部を採取し、腫瘍の良性・悪性、切除断端の腫瘍の有無またはリンパ節への転移の有無を診断する検査です。これにより、切除範囲の決定や手術法選択の指針となります。また当院では、乳腺や大腸の手術においてリンパ節転移の検索に「OSNA法」を導入しており、遺伝子学的な検査が行える体制を整えております。
・細胞診断検査
尿、喀痰、胸・腹水などの液状検体に含まれる細胞や、甲状腺や乳腺を穿刺して得られた細胞を顕微鏡にて細胞レベルで診断を行う検査です。
・病理解剖
患者さんがお亡くなりになった際、ご遺族の承諾を得て病理解剖を行い、死亡原因の特定や病気の進行度合いまたは治療が適切であったか等を検証することを目的としています。病理解剖で得られた情報は、医学教育や今後の医療の発展に役立たせております。
チーム医療
輸血療法委員会
輸血療法委員会にて臨床検査技師は、血液製剤やアルブミン製剤の使用状況や輸血副作用件数、不規則抗体検出状況などの報告を行っています。輸血療法委員会にて話し合ったことを元に輸血療法の安全性確保、血液製剤の適正使用、血液製剤有効利用の促進などを積極的に取り組んでいます。
糖尿病チーム
臨床検査技師は糖尿病チームの一員として、SMBG(自己血糖測定)・FGM(Flash Glucose Monitoring)の指導、糖尿病教室、糖尿病カンファレンスへの参加、糖尿病デイでの普及活動、各病棟及び外来の血糖測定器の管理などを行っております。
NST
NSTは栄養サポートチームの略称です。患者様の栄養状態を評価し、治療効果を高めたり、合併症を予防したりするための活動を行っています。臨床検査技師は、採血のデータから低栄養の患者様を抽出し、栄養状態の評価・判定をサポートします。
ICT
感染制御チーム(ICT)の一員として注目すべき微生物を迅速に報告することで院内感染の防止に努め、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の一員として血液培養陽性例、耐性菌検出例等に対して抗生剤の選択が正しいか、変更・中止が必要ないかなどを判断するための支援を継続的に行っています。その判断材料の一つとなるのが臨床検査であり、治療に介入するためのデータを作成しています。
HIVチームでは医師、看護師、薬剤師、社会福祉士、臨床心理士、臨床検査技師などの各スタッフが専門に応じて役割を分担し、連携を取りながらケアを提供しています。